memo: 7 August, 2016




(大野ひろみ・本田ゆみ/料理家、ネシアン)
 
 
 
 
□ 名前: 大野ひろみ  本田ゆみ
 
□ 肩書・所属: 料理家/neshian (ネシアン)
 
□ 略歴:
大野ひろみ
1973年生まれ
1993年  トラベルジャーナル旅行ホテル専門学校旅行科卒業
     旅行代理店で5年勤務した後、ベトナム料理に魅せられ、料理の世界へ
2001年  名古屋のベトナム料理店にて勤務
2008年春   フランス・ノルマンディのオーガニック農家兼レストランにて自然体の暮らしを学ぶ
2009年夏   長野・安曇野「シャロムヒュッテ」にてマクロビオティックの料理や思想を学ぶ
2009年秋   料理教室を始動
2014年夏   岐阜・池田町にて「neshian山のアトリエ」を開業
 
本田ゆみ
1975年生まれ
1996年  トラベルジャーナル旅行ホテル専門学校ホテル科卒業
1996年~1999年  パンパシフィックホテル横浜 イタリアンレストランTOSCAにてサービス業務に携わる
2000年~2002年   アジア料理店XIANにて調理業務に携わる
2003年春   自宅の離れにて1日1組限定でアジア料理の提供をはじめる    
2004年春   自宅にて料理教室を始動          
2014年夏   岐阜・池田町にて「neshian山のアトリエ」を開業
 
neshian
2003年の春に、知人の作品展でのケータリングをきっかけに、姉妹で「neshian」というユニット名でケータリングをはじめる。ケータリングの他、メニュー開発や、料理教室、味噌作り教室、醤油づくりのワークショップなど食にまつわる仕事をしています。2014夏に、岐阜・池田山麓に「neshian山のアトリエ」をオープンし、畑で採れた無農薬野菜や、揖斐周辺の無農薬・減農薬野菜を中心に、素材を生かした料理で、心をこめておもてなしをいたします。
 
 
neshian  山のアトリエ
岐阜県揖斐郡池田町般若畑171-1     Tel 0585419011
 
 
 
 
side B 参加の皆さんのご紹介も今回で最後となりました。
まずは姉妹料理ユニット「ネシアン」の大野ひろみさんと、本田ゆみさん。
ケータリングや料理教室を中心に活動していらっしゃいましたが、2014年に「neshian 山のアトリエ」をオープンされました。週に1、2日予約のみで季節のお料理やカレーを提供されています。
 
 
 
 
○ 名称:パブロ・ピカソ 「母と子」

○ 年代:作品の年代は不明。2008年にバルセロナにあるピカソ美術館にて購入したもの。2枚買い、1枚は妹に。

○ コメント文:
旅の途中で出会った1枚の絵。8年経った今でも、2人ともこの絵が好きで、それぞれの自宅の玄関に飾ってあります。
この絵に、もはやコメントは不要だと思うのです。
この絵を眺めているだけで、優しい気持ちになれます。
(大野ひろみ)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
□ 題名:母の時間

□ 著者:浜 文子

□ 出版社:グランまま社

□ 出版年:1995年
 
□一番印象に残っているページ、箇所:162ページ

私たちは離れた
ふたたび ほんとうの
出会いのために
母と子の
永遠の出会いのために
 
□コメント文:
4人の母である私。
大海原の母とはいかず、一瞬一瞬を輝かしく生きるこどもたちと、どれほど向き合っているのかと自問自答の日々です。この本は、そんなこどもたちと母である私を「ありのままでいいんだよ」と、受け入れてくれるかのようです。自分と一体となっていた世界から離れ、母(親)と子として、その命は又つむがれていきます。料理も又、旬を生きる素材と向き合い、その命をいただき、はぐくんでいくもの。どんなことに対しても、母性という愛情の原点が大切なんだと、この本を読んで思うのです。
(本田ゆみ)
 
 
『Found: 』で唯一おふたりでの参加となったネシアンさん。
企画の段階で、グループでの参加というアイデアを持ち合わせていなかった私は最初、大野さん個人にお声がけをしました。その後、大野さんから「ネシアンとして参加したい」とお返事があり、「料理をする上で考えていること、大切なことを、皆さんにお伝えできれば」と、参加をご承諾いただきました。
 
お料理の世界の方の『Found: 』、私は料理に関する本や道具など、直接的なものをイメージしていたのですが、大野さんが持っていらっしゃったのは、額に入ったピカソの絵ハガキ。おふたりの『Found: 』のひとつが、母子を描いたドローイング作品だったことに驚きながら、1枚の作品が、その人の人生に影響を与えつづけ得るのだということを目の当たりにしました。そして、料理家ネシアンさんの基軸が"母性"にあるということにも、とても感激しました。
 
 
 
 
 
 

松井 茂/詩人
 
 
 
 
□名前:松井茂
 
□肩書・所属:詩人
 
□略歴:
1975年東京生まれ。詩人。
現在、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]准教授。
マス・メディアと現代芸術の影響関係に着目している。
論文に「「かいわい」に「まれびと」が出現するまで──お祭り広場」(『atプラス』25、2015年)、
「今野勉 ラディカルなテレビ表現をするレジスタンス」(『放送研究と調査』2015年)。
展覧会監修に「磯崎新 12×5=60」展(ワタリウム美術館)等。
共編に『虚像の時代 東野芳明美術批評選』(河出書房新社、2013年)、
『日本の電子音楽 インタビュー編』(engine books、2013年)等。
 
 
 
 
□ 題名、著者名、出版社、出版年:
(1)東野芳明「東京のJ・J」『美術手帖』第240号、1964年8月号
  1964年×月×日〜×月×日

(2)東野芳明「コンバイン日記 ニューヨーク一九六六・東京一九六八」『アメリカ『虚像培養国誌』』美術出版社、1968年9月、1966年1月19日〜2月18日、1968年1月19日〜2月18日

(3)東野芳明「his ENVIRONMENT 磯崎新」『インテリア』第110号、1968年5月号
  1968年1月9日、10日、4月11日

(4)東野芳明「蒸発のすすめ1(虚像と実像)」『デザイン批評』季刊第6号、1968年7月
  1968年4月10日〜20日

(5)東野芳明「ヴェネチア・混乱の一週間」『藝術新潮』第224号、1968年8月号
  1968年6月17日〜6月24日

(6)東野芳明「燃えるパリ滞在記」『デザイン批評』季刊第7号、1968年10月
  1968年6月30日〜7月7日

(7)東野芳明「唐十郎とぼくの38日」『SD』第52号、1969年3月号
  1969年1月4日〜2月10日

(8)東野芳明「「東京ビエンナーレ」の作家たち」『美術手帖』第329号、1970年7月号
  1970年4月15日〜5月27日

(参考)松井茂+伊村靖子「生中継の批評精神 一人称のビオス」『虚像の時代 東野芳明美術批評選』河出書房新社、2013年4月

□ コメント文:
僕は、日記を書く習慣を持ったことがこれまでない。持ったことがないというと聞こえはいいが、つまり続かないのである。その反動だったのか、詩を書きはじめた当初から、その営み自体を日常の記録としたいというような感覚を持っていた気がする。現代芸術のあらゆる動向においても、日常という概念は、特殊な意義をもってきたはずだ。非常にざっくりしたことをいえば、近代以前の西洋芸術は「聖」なるものだ。日本の古語として「聖」は「ひじり」と読み、これは「日知り」を語源とすると言われる。洋の東西を問わず、近代以前の「ひじり」は、特定の日を祝う「ハレ」としての「祭」の概念に引かれていたことに違いは無いだろう。神の死後、近代から現代芸術が「聖」として読み替えてきた眼差しは、不特定な日が堆積する「ケ」としての日常ではなかっただろうか。僕は、日々、詩を書くことによって、そのような感覚を醸成してきたと自覚している。自分が詩を書くようになってから、河原温のようなコンセプチュアル・アートの試みを知ったりした。僕が近年研究対象としている、テレビ・ディレクターの今野勉(1936〜)は、1960年代にテレビは「ケ」のメディアであると主張した。説明するまでもなく、テレビは「日を知る」メディアであり、それはいつしか「メディア・イベント」として、「日」それ自体を稼働するメディアに成長し、インターネットをはじめとするSNSにまで接続して
いるだろう。言わば「聖」なる神の芸術は、近代、現代のメディアを経て、「ネ申」を召還した芸術を再設計しつつある。閑話休題。さて、そんなことなど考えつつ、今回持ち出したのは、美術批評家の東野芳明(1930〜2005)の1960年代の日記である。日記と言っても雑誌に発表されたもので、言わばこの文体の選択こそが批評なのだ。特に1968年を中心とした流動的な時代の日常を捉えた批評はたいへん刺激的で、これを契機に『虚像の時代 東野芳明美術批評選』(河出書房新社、2013年4月)を刊行した。芸術の日常に対抗した批評文体として、東野の日記を瞥見してほしい。
 
 
 
 
"I am a poet because I have never stopped writing poems since January 7, 2001."
"2001年1月7日から、やめることなく詩を書き続けている、ゆえに私は詩人である" (松井茂)
 
松井茂さんは「新たなかたちを自ら提案し、そのかたちに即して詩作する」とする『方法詩』で知られる詩人であるとともに、映像メディア学に基づいて、マス・メディアと現代芸術の影響関係に着目した研究に取り組んでいます。
 
今回、松井さんから送られてきたのは、すべて本。
約50年前のものなど、資料としても貴重なものを、お借りしております。
なかなかゆっくり手に取る間がないのが残念ですが・・・8月14日までです。是非お立ち寄りください。