『Found: 』side B-8月14日(日)までです。

 
 
 




5月から2会期にわたり開催してまいりました『Found:』も、残すところあと2日となりました。
是非お立ち寄りください。




『Found: 』
" あなたにとっての、


〇 意識を開いてくれたと感じる本/もの

〇 出会ったことのなかった世界を発見させてくれたと思われる本/もの

〇 美しさ、面白さなどの魅力、価値を見出したと感じている本/もの

〇 強くその存在に惹かれている本/もの

〇 なんだかよくわからないけれど、なんとなく気になって手元に置いている本/もの


など、「Found」な本、および、もの(ファウンド・オブジェ)の借用をお願いいたします "


___『Found: 』出展依頼文より






side B:
2016年7月7日(木)ー8月14日(日)

□ 秋庭史典:美学者/名古屋大学

□ 大野ひろみ・本田ゆみ:料理家/ネシアン

□ 神村 誠:デザイナー

□ 高野直子:編集者/ギフノート編集室

□ 寺田就子:美術作家

□ 久松定昭:久松真一記念館 館長

□ 松井 茂:詩人



木/ 土/ 日曜日 のみ オープン
13:00- 19:00  (営業時間が変更になっております、ご注意ください)
1 drink order





-『Found: 』 について-

昨年frontでは、年間を通じた企画を「something is beyond」(向こう側からの何か)と題し、4名の作家それぞれの空間に対する切り口によって、この場に新たな発見や気づきがもたらされました。そしてまた同時に、まず表現者自身が何かに気づき、発見し、その経験が蓄積され、熟していく、彼らの美術表現に至るまでの背景をも感じさせるものとなりました。

創造へとつながるプロセスにおいて、日々の発見は、ときに本やものなどのかたちあるものに見出されることがあります。例えば、彫刻家のヘンリ・ムーアや建築家のアントニオ・ガウディなど、芸術家は身近な自然に宿る美からのインスピレーションに、創造を促されてきました。彼らは、山や川や海などでの拾得物、特に石や骨や木、貝などの自然物を、ふと手に取り、机の片隅に留め置くような、ささやかな経験と意識に目を向け、住まいやアトリエの傍らに収集しました。そしてそれらは後に「ファウンド・オブジェ」と呼ばれ、芸術家の意識をひもとく鍵となりました。

また、幾度となく読みかえす、思いがこもった本からは、その時々の言葉の誘いにイメージを膨らませ、あらたなインスピレーションを与えられることがあります。詩人のリルケはどこへ行くにもバイブルとJ・P・ヤコブセンの著書を持ち歩いていたと、「若き詩人への手紙」に記しています。

このように人は、自ずと本やものを大切に携え、また身近に置こうとします。日々のさまざまな物や出来事との出会い、そして発見の証しとして、思い出や深い記憶をたどる契機として、もしくは自分自身の拠りどころとして、その理由はそれぞれでしょう。そしてそれは、自然のなかのものであっても、芸術家によるものでも、またアノニマスなものであっても、構うことではなく、どれも等しくかけがえのないものです。肝心なのは、そこに何をFound/見出したのか、という、持ち主である受け手の意識です。本やもの自体は変わらずとも、受け手の意識が変われば、またいつでもあらたに発見/Foundされる可能性を持ちつづけるのです。

そしてそのようなFoundを軸とした意識の循環と連鎖は、一部の芸術家や詩人に限られたことではなく、誰しもに成されるものであり、それらが積み重なり、経験となって、私たちの意識の礎となっていくように思います。そしてそのことは、無限とも思えるほどの中から選択され傍らに置かれた本やものに、少なからず映し出されているのではないかと思います。

本企画は、このように皆さんの意識を開いてくれた物や事との出会いと発見を、ご提供いただいた本やものを通じてご紹介しようとするものです。frontの場において、それらひとつひとつをきっかけとして会話をし、想像しながら、それぞれのFoundがまた次の誰かへと伝播してゆくことを思い描いています。